それぞれの生い立ちや謎の宿命
ルカ君が皆の「目指すところ」を問う。
うーん。ボクも一応目的地はフェンディルの王都ってことになってるけど、ホントは無いっちゃ無いんだよね。
「『わたくしが華々しく散れる場所』
............かしらね。」
何か漢だな。シモーヌさん。
「ゼーレンは何歳なの?」
「十億飛んで四千八百五歳を迎えた辺りから数えてないわ。」
すごく濃い化粧で、激しい音楽を奏でる吟遊詩人が脳裏に浮かんだのは、何でだろう。これがハイマンの言う既視感だろうかな。
「だって何年経とうがわたくしはわたくしでしょう......?
今年も去年も一昨年も同じなのだわ」
すごいな。シモーヌさんは。自分をしっかり持ってるんだ。ボクなんて、毎日定まらない『ボク』だよ。昨日は女の子、今日は男の子、明日は?
ルカ君の「どっち」攻撃ははぐらかしたけど、何だか話が変な方向に向かっていた。
「どっちかと言えば、もちろん『光か闇か』......よ!」
「わたくしの予想は『光の属性を持つモノとして生まれながらその魂に闇の洗礼を受けた世界の命運を左右する少女』ね......だって二つの世界が見えるのでしょう」
「いや?。光と闇ってそんな大したもんじゃなくてぇ、そのぉ生物学的なっていうか・・」
少なくとも世界の命運を左右する話じゃない。
?
?
パスカちゃんは、素直に自分の生い立ちを話してくれた。
遺跡かぁ。魔剣の迷宮だろうか。魔剣の迷宮では、不可思議なことが起こるって聞くしなぁ。
『パスカ』か・・『パスカ』。思い当たるものもないなぁ。
「そうなんだ。唯一覚えていた言葉が『パスカ』なんだね。ボクも王都の図書館に入れることがあったら、文献でも当たってみるよ」
?
「...はい、パスカの話はこれでおしまいです!
今度はみんなが話してください!
ルーフェさんのどっちって何のことなんですか!
ルカ君こそいくつなんですか!
シモーヌちゃんは雷で堕天使で右腕からスーパーパワーなんですか!」
シモーヌさんも、その身に纏わる秘密(?)を話してくれた。
だから雷神の系譜に連なるわたくしは永遠にこれを守らなければならない......。
決して悪しき者にその力を利用されてはならない......そう、『教団』のような......」
『教団』・・何か、新しいの出てきた。
でも、二人とも身の上を話してくれたんだから、ボクも話さない訳にはいかないね。
「『どっち』の話だけど。ボクは男の子だよ。体はね。
でも、心はよくわからない。
ついこの間まで、女の子として育てられてきたんだ。親の趣味というか、あれでね。両親は今でもボクを女の子として扱っているよ。
奇妙なもんだよ。冒険者になりたくて男の子に成りたいなんて思ってたら、ホントに男の子だったんだから。」
三日三晩、ベットのなかで保健体育の本に齧りついていたよ。
「あ。ウチの両親は『冒険者なんて男のやることだ』なんてタイプだったからね。故郷を出てこれたのも、表向きは学者として魔法文明について研究するためなんだ。」
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PL
かなり話し込んでるなぁ。