【進行共通02】オランでのやり取り。

「アイナティート、幾ら何でもそれは飲み過ぎだろう...」
アイザックは心配して声を掛ける。
暇潰しの深酒に半ば付き合わされた彼も結構な酩酊状態だ。
酒は日頃嗜み態度には飲んでいるが、けして強い方では無い。
「おい、アイナ...」
他人に酒を勧めておいて先に潰れてしまった彼女を、
アイザックは自身を襲う酔いを必死に堪えつつ、
賢者の学院まで運び込んだ。
「お勤めご苦労様であります」
賢者の学院、女子寮の守衛に対し、アイザックは几帳面に敬礼をした。
「私はアイナティートの知人...友人であります。
先程まで一緒に食事をしていたのですが、
ご覧のような状態になって自分で帰れなくなったので、
担いで来た次第であります...」
守衛達は当然、女性である。
「彼女の部屋が分からないので、
申し訳無いが彼女を連れて行って頂けますでしょうか」
「分かりました。アイナティートを守ってくださり、
有り難うございます」
守衛は微笑んでそう返答すると、アイザックの背中から
アイナティートを預かり、担いだ。
「忝い。夜分に失礼しました」
そう言って深々とお辞儀をし、その場を去ろうとする。
かと思うと、慌てて戻って来た。
「あ、彼女が起きたら伝えて頂きたい...
『嫁入り前の娘が深酒などするものでは無い』と言っていた、と」
こう言い残し、今度こそ去って行った。
「今時珍しい殿方!」
「紳士過ぎるのも考えものね」
守衛達は苦笑する。
「この娘は幸せ者ね...まあ、そんな自覚も無いでしょうけど」
アイザックの伝言は、勿論アイナティートには伝えられなかった。
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「早速ですが、1500ガメル、お返しにやってきましたぁっ」
「殊勝な事だね。この調子で宜しく頼むよ」
ミルの報告に、エイティは事務的な返答をし、事務的に金を受け取る。
「...ところでミル君。君、今度はエリオールに『研修』に行くそうだね」
エイティは情報に精通している。【鼠】の支部長なのだ。
「エリオールにも小なりと言えどギルドはある。
オランと直接の繋がりは無いが、きちんと挨拶くらいはしておくんだね...」
これは至極常識的な事だ。言われるまでも無い、ミルはそう思っただろう。
「先の幹部会で君の昇進の話が出ている。
君も対外的なものを意識した立ち振る舞いをするといい...
君は結構色々な人物に見られている、その事を自覚した方がいいな」
この言葉を言われるまでは。
「依頼上、【野良犬】は君の護衛と言う事になっているが、
此方では当然君の方が先輩だ。
どう言う事かは分かるね...エースから言われてるかも知れないが」
ストレイ・ドッグは組織の構造上、ミルの後輩に当たる。
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「へえ、遺跡がねえ。」
ジュリアの反応を、笑顔でヴィステリアは見守る。
「わかった。その話、引き受けよう。
具体的にはそれらの遺跡の調査をしてくれば良いのだな?」
「君のやりたいようにやってくれて構わない。
図書館で文献調査や写本に精を出すのも自由だし、遺跡の調査も結構。
計画書と実施報告さえ提出してくれれば、詳細はお任せするよ」
形式さえ整えばよい、と言う事のようだ。
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ヴィステリア導師は多忙の合間を縫ってナリスとも面会している。
「やあ、久しぶりだねえ、ナリス君。
剣の腕に磨きはかかったかな?」
ヴィステリアはそこらの戦士よりも余程腕が立つ。
ナリスが彼から教わったのは教養や学問だけでは、けして無い。
「楽な護衛とは考えない事だ。
彼らと共に行動し、様々な事を学んでくるといい」
ヴィステリアの瞳は深い光を湛えている。
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【GMより】
オランに遡っての描写を先に落としておきますね!
○アイナティート
泥酔のくだりは、こう言う風にさせて頂きました(笑)
60ガメル支払い受領です。アイザックは120ガメル払ったでしょう(笑)
○ミル
エイティから昇進云々の話を仄めかされました。
もうすぐ4Lvですもんね!
○ジュリア
藤岡導師に「結果オーライ、好きなように」と言われます。
イメージとしてはお役人の地方研修程度の軽さです(笑)
ですのでジュリアの音頭によって決まります。
○ナリス
せっかくの設定なので、会話シーンを挟みました。