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【進行共通10】幻視、騒音、悪臭。

GM [2013/10/30 16:12]

うずくまるブロード老にそれぞれが声を掛ける。

「ん...どした?」

「む、どうした御老体。大丈夫か?」

「......大丈夫か、ブロード爺?」

「ああ、大丈夫じゃ。何とかな...」

ブロード老は油汗を額に浮かべながら答えた。

「まさか。見たのか?また?」

「その通り。見た」

マークの予想通りの回答が返ってきた。

「よし。まずはこちらへ冷静にトーン小さく話してみ。
 ショッキングな内容なら下手に回りに知らせるとパニックになる危険もある。」

「衝撃的かどうかは分からんがな...」

ブロード老は口ではそう言いながら、マークの勧めに従い、
周囲に聞こえないよう声量に配慮しつつ語り始めた。

「ワシが"見た"のは断片的な映像じゃ...
 深い森の奥、白樺に囲まれた小さな池、金色の森に戯れる妖精達、
 虹色に輝く針、そして目覚める竜じゃった」 

ふう。息を深く吸い、呼吸を整える。

「これらの映像が、何を示すかはワシには分からん。
 『星』の時の様に、具体的な場所がはっきりと分からんかった...」

ブロード老の話を隣で聞いていたミルとストレイは思った。
"金色の森"とは、妖精界の事では無いかと...

ミルは虹色の針、と聞いてミスリルを思い浮かべた。
真の銀とも呼ばれ、妖精界にも存在する金属だ。

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「なんだぁ!?
 起きねぇのか?」

「...起きない?」

「ぽいなぁ...しっかし、うるせぇなこいつ...。耳がばかになりそうだわ...」

ナリスの指摘は尤もだった。
巨大な体躯が響かせる鼾は大きく、迷惑千万なものであった。
直近は勿論、城壁の外に居ても聞こえる位なのだ。
四六時中こんなものを聞かされた日には、夜もおちおち眠れやしない。

「そのようだな。随分深く眠っているらしい」

「強制的に寝かされてるんなら・・・サンドマン?」

「おかしいな、どうしてこのドラゴンは眠っているのだ?
 何らかの魔法の力が作用しているとしか考えられないが...。」

「精霊力を見ればわかるかね。どーよ?」

「ふむ......可能性はあるか?」

精霊使いの力を持つジュリア、ストレイ、アイナティートは、
老竜の周辺に働く精霊の力を感じ取ろうとする。

...眠りの精霊の異常は、感じられない。
と言う事は、老竜は何らかの古代語魔術の影響下にある。
そういう推測が成り立つだろう。

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ストレイが拾った『星』の破片を皆で調べてみる。

「なぁ、これ星の破片だと思うんだが、
 何か分かるか?」

「あーっ、ストレイあかん子やー
 仕事したらあかんねんでー」

「ん、なんやこれ、星のかけら?
 んなロマンチックなもんか?」

「それは星のかけらだな?
 誰か、センスマジックを...。」

手応えと重さからして、金属のように思えた。鉄だろうか。
古来、堕ちてきた『星』の欠片を材料として、良質の武具が作られた、
という伝承もちらほらと残っている。

ジュリア、ストレイ、アイナティートの3人は、
この破片に、微かに精霊力を感じる。
明確にどの、とまでは分からない。
どうやら、分化以前の原初の精霊力を秘めているようだ。

ミルは今回のように、『星』から魔物が出てきた話は無いか思い出そうとする。
魔獣を何かの物体に封印する研究は、古代魔法王国時代に行われていた。
幾つかの成功例もあったようだが、具体的な例を思い出す事は出来なかった。

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「ま、寝てるなら寝てるで調べてみるか」

爆睡中の老竜を、ここぞとばかりに調べようとするストレイだが、

「まぁ。なんにしても寝てるのいい事に下手な事はしない方がいいと思うよ。
 このクラスの竜は魔術の使い手としても超一流らしいからねぇ。」

マークから正論な忠告を受ける。

「例えば嘘を看破する魔法とか。俺の鱗を剥いだのは誰やコラ
 って聞かれたらコイツですって素直に言うしかないんだよな。」

この言葉を受けて多少は慎重になったかどうかはともかく、
ストレイは老竜の背に乗り、股を潜って肉体を調べた。

鱗や角はかなり頑丈だ。
漲る炎と生命の精霊力に、圧倒される事だろう。
しかし、剥がしたらどうなるか、安全は保障出来ない。
数を揃えれば鎧や盾は作れそうだが...

ストレイとミルの知識では、この竜が雄か雌かは分からなかった。
そもそも、肉体の構造が人間とは根本的に異なるのだ。
殺されない限り死ぬ事は無く、転生する事さえ可能なのだから。

特に気になるような外傷は無かった。
魔法具を身につけても居ない。
だが、直接魔法を掛けられている可能性は否定出来ない。
少なくとも、外見上からは分からなかった。

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「申し訳......あり......ま......」

コスモは意識が飛びそうになる。
直前、振りほどかれた。

「今日はこれ位で許してあげる。次からは気をつけなさいね?」

かなり上下関係に厳しい人物のようだ。

「くおら!このお姉さまとはどういう関係なんじゃわれ!
 きりきり吐け!吐かんかい!!」

ナリスがコスモを責め立てる。

「私はこの子の師です。オランへの進学の斡旋も行いましたの」

ナリスに対し、カーリーは随分とかいつまんだ説明をした。

「いやはや。来て早々、難解な課題を出された気分ですよ。
 此度の研修、無事に終えれば得るものも大きそうです。」

「そうですね。研修どころでは無くなってしまいましたが...」

カーリーは無遠慮な寝息を立てる竜を見上げ、
深い溜め息をついた。が、

「ですが、眠っているのは不幸中の幸いと思いましょう」

こう言って表情を改める。

「とりあえず交渉の後に穏便に事を済ますそうと思ってるトコなんですが...」

「それがいいでしょうね、私も同じ事を考えていました。
 問題は、どうやって話をするか、ですが...」

そう、竜は眠っており目覚めない。話をする以前の段階なのだ。

「早速だが、カーリー。
 忙しいところすまないのだが、
 このドラゴンにディスペルマジックの呪文をかけてもらえないだろうか?
 私より貴女の方が精度の高い魔法をかけられるだろう?」

ジュリアの要求に、カーリーはこう答える。

「そうですね、やって見ましょう。駄目で元々です。
 しかし、期待はしないでくださいね。
 私は天才と名高い貴方よりも魔力は弱いのですから...」

そう言って、呪文の詠唱に入った。

―――万能にして万物の根源たるマナよ、
   此の竜に掛けられたる魔力を解き放ち給え―――

控えめな表現だったが、カーリーの魔術もかなりの技量の主であった。
アイナティートやコスモ、ミル、マーク、ジュリアなど、
カーリーが相当な量の魔力を練り上げたのが分かっただろう。

...しかし、竜は目覚めなかった。

「すみません、出来ませんでした」

魔力を一斉に放出し、疲労で顔を青白くしながらカーリーが頭を下げる。

「カーリーはん、言いましたか
 とりあえずウチら、どないしましょ?
 ここでいびきかいてる方ほっとくのもなんやけど、
 学院に顔出すのも優先やし......」

ミルの問いに、カーリーはこう答えた。

「研修云々は、この竜の問題を解決してからになるでしょう。
 私はこの後、対策会議を召集して街としての対応を考えます。
 この件は賢者の学院が率先して対応する事になる筈です」

カーリーは8人と、ブロード老を見つめる。 

「皆さんがこのタイミングで街にいらっしゃったのも何かの巡り会わせ。
 皆さんへは後ほど、正式に依頼を出します。
 どうか一緒に、事態解決の為にお力添えをお願いします」

その後、コスモへはもう一言。

「協力してくれるわよね?コスモ」

言葉そのものは到って普通だが、
語気に含まれた圧力たるや半端なものではない。

「ジャプセンの嬢ちゃんの頼みは断れんのう」

ブロード老は、髭をこすりながら頷いた。

「有り難うございます、ブロード爺様!」

カーリーはブロード老に抱きついた。

「こ、これ止めんか!皆が見ておる」

顔を真っ赤にして引き剥がそうと必死だ。

「あ、すみません、つい」

カーリーは、はっとなってブロード老から離れる。
コスモは彼女がコミュニケーション過剰な傾向にあるのをよく知っている。

「では、皆さん。一先ず賢者の学院へいらしてくださ...」

カーリーが踵を返そうとした刹那、

ぶっ!

老竜から、突如豪音が沸き起こる。
尻の近くに居た衛視が、吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。
数秒後、強烈な悪臭が広場に充満する。

「こ、これはたまらん!」

「く、臭い...!」

「このドラゴン、屁をこきやがった!!」

「何て迷惑な!」

衛視と騎士は阿鼻叫喚の騒ぎだ。

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【GMより】

ドラゴン関係の情報は此方にまとめました。ミルとストレイ大活躍!

竜の鼾は街中に鳴り響きます。夜になれば安眠妨害必至です。
屁はかなり臭く、広場の外にも臭いは広がります(笑)
放っておくと、色々な意味で不味いでしょうね!

カーリーから、街の有力者による対策会議の後、
PC達に依頼を行う予定だと告げられます。
皆さん、報酬がこれで出ますよ!(笑)

カーリーは賢者の学院へ移動しましょう、と誘ってきます。

[各種判定及び宣言結果]

○<知識>もしくは(シャーマン+知力B):
 ミル15(予備2使用)ストレイ11(前回分の予備2使用)

 ブロード老の見た映像の内、"金色の森"は妖精界の事では無いか、
 と思いました。ストレイはシャーマン技能で代替しています。

○『星』の破片の<宝物鑑定>:
 ストレイ6ゾロ!(前回の予備3使用)アイナ15、ミル12、ジュリア18

 俗に言う隕鉄だと分かります。破片を集めて武具を作れば、
 最高品質のものが作れるでしょう。

 ミル以外の3人は、加えてこの破片が原初の精霊力を微かに有しているのが
 分かります。『星』が星界から来た証拠となります。
 《センス・マジック》を唱えてみれば、当然反応します。

○虹色の針の<知識>:ミル14(予備3使用)

 本文の通り、ミスリルで出来ているのでは、と思いました。
 何らかの魔力が込められたマジック・アイテム?という推測も出来ます。

○『星』の中に魔物が居たか?=<知識>:ミル14

 本文の通りの情報を得ます。隕石に封じて追放するような研究は、
 古代魔法王国時代に行われていたようですがかなりレアなものでした。
 具体例は思い出せません。主流からはかなり外れた領域とお考えください。  

○エルダー・ドラゴンの肉体の<捜索>:ストレイ13

 雄か雌かは分かりませんでした。インプラントの痕跡もありません。
 本文で言及しましたが、ドラゴン自体に何らかの魔法が掛かっている
 可能性があります。ただ外見上からは判別が出来ません。

 鱗は数を揃えれば鎧や盾の材料と成り得ます。
 ただ、無理やり剥がすと何が起こるか分かったものではありません(笑)

○ジュリア
 カーリー導師は5Lvソーサラー、知力Bは3です。
 ですので、基準値はジュリアより下です。
 《ディスペル・マジック》を3倍拡大しましたが、失敗しました。
 ゲーム的には、達成値が30以上必要だと思ってください。

 近くに神官は居ないので、トランスを受けるには神殿へ移動してください。

[ダイスチャットからの添付]

15:37:03 テッピン@GM カーリー、達成値+3《ディスペル・マジック》 2d6+8 Dice:2D6[6,5]+8=19
15:37:15 テッピン@GM 惜しかったね...

[次回進行に際してお願いしたい事]

○次の行き先を宣言してください!
○ライスは紹介状を持ってどう行動するかを教えてください。
○ミルとストレイはギルドに行きますか?それとも「仕事」しますか?
○その他、何でもいいです、行動してみてください!

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