【進行B06】その名はビューイ。

一同はルミナスについても調査を行う。
「問題は、妖精界が手ぇ貸してくれるかだな。
ちなみにルミナスって、どんな奴だ?ってか、ライスはまだか?」
ストレイは不慣れな文献調査を頑張ってやってみるが、
なかなか上手くいかない。ナリスも同様だ。
一方、アイナティートはルミナス家について或る程度の知識を有していた。
彼女が森妖精故か、長寿の故かは分からないが。
ルミナス家は古代魔法王国時代の付与魔術師の家系であった事。
この辺りの地方領主を勤めており、当時珍しく大地母神を信仰していた事。
蛮族に対する支配は寛容であったが、その事が災いし、
末期の混乱期に真っ先に滅ぼされてしまった事を思い出した。
また、アイナティートは彼の肥満竜についても調べる。
「老竜は魔法王国の時代にかなりの数が狩られたそうです」
手伝ってくれている学生が一般常識を口にする。
「竜も生き物。体型や性格に個体差はあって然るべきとは思うのですが...」
にしてもあれは無いですよね。
学生は溜め息と共に新たな書物を並べていく。
さて、書物を紐解いていく。
『怪物辞典』。『幻獣図鑑』。『珍獣百科』。『竜の生態』...
書かれているのは一般論的な竜の記述ばかりだ。
そんな中、アイナティートは1冊の本に目を止める。
『魔物を友とした男』
そんな奇妙な写本であった。
めくって読んでみる。
内容は魔物と心を通わせる能力を持った男が各地を放浪し、
種族を超えた友情を育んでいくという、よくある少年向けのものだ。
その中の一章に、
―――泣き虫ドラゴンのビューイ―――
というものがあった。
そのドラゴンは変わり者で、食べ過ぎで太ったような姿をしていた。
あまつさえ、しくしくと泣いていた。私は尋ねてみた。「君はどうしてそんな所で泣いているんだい?」
返ってきたのは、何とも拍子抜けする言葉だった。
「友達が居ないからさ」
「友達?」
全ての生物の頂点に君臨する竜が、不思議な事を言う。
「そう、友達」
竜は頷いた。その瞳は、巨体に見合わずつぶらであった。
「皆僕から逃げていく。
何もしてないのに勝手に怖がって、勝手に怒り出すんだ。
仲間からは馬鹿にされるし、僕はいつも仲間外れさ...」そう言うと、竜は辺りに響き渡る轟音と共に、
おーいおーいと泣き始めた。鼓膜が破けそうだ。「...君は優しいんだね。
その気になれば、何でも思い通りに出来ると言うのに」私は驚かずにはいられなかった。
その気になれば大地を蹂躙し、思うざまに出来る最強の生物は、
その身の不幸を嘆き、悲しみにその身を漬しているのだ―――
...その後、竜をつけ狙う人間共を男は追い払い、
この竜の為に、新たな住処となる孤島を探しに行く、というものであった。
***********************************
情報収集がひと段落し、今後の対応について話し合う。
「星の欠片も持って行こう。もしかしたらルミナスとの繋がりを証明する材料になるかも。」
『星』の欠片は森の妖精に見せる為に持っていく事。
「今回の冒険終わったら、伝承について違うバイアスかけて
流布しなおさへんとあかんかもなあ」「このこと、とくに『絶対起きへん』いうのは、
当面、ここにおる面子だけでナイショにしとかへん?
街の上の人に知られたら、あのドラゴンはん細切れにされてまうかもしれへん」
老竜が目覚めない事については他言無用とする事。
事後、意図的な情報操作を行う事。
「ドラゴンはんの鱗でも、もってくか?
一枚剥いだとこで、絶対起きへんのやろし」「なにしろ古代カストゥール時代の話だからな。
当時の物品が残ってるわけでもなし......。
あの蜥蜴の鱗一枚くらい剥いで持って行ってみるのはどうだ?
星の欠片と合わせれば多少は信用性も増すかもしれん。
幸いあれは大人しいようだし、
小さい鱗一枚くらいなら気づかないかもしれんぞ」「ドラゴンの鱗をはいで行くのは、私は反対だな。
人間になぞらえてみると、『その爪綺麗だから一枚ちょうだい』と、
同じ感覚らしいぞ。
ドラゴンは起きないだろうが、目を覚ました後がかわいそうだろう?
残酷なことをする、と、妖精の信頼も、逆に損なうかもしれない。
あれほど個性的なドラゴンだ、
見せるならばクリエイト・イメージで充分ではないか?
偽のイメージも作れるが、あのようなドラゴン、誰が想像しよう。」「ふーむ。まぁジュリアンの意見でいいんじゃにゃい?
そら温厚なドラゴンかもしれんけど
されどドラゴンだしねー。報復とかされたら正直責任もてないし・・・」
竜の鱗は剥がさない事。
しかし、偶然というか僥倖というか。
ストレイは情報収集から戻る際、落ちていた鱗の何枚かを採取していた。
あれだけ激しく身じろぎしているのだ、自然と剥がれ落ちていたのだろう。
盗賊の手癖が幸いした格好だ。
===================================
【GMより】
情報収集はこれで区切り、次は場面展開しますね。
アイナが新たな情報を引き出しました。イイ感じですね!
ストレイの予備ダイスと宣言も好意的に採用させて貰いました。
[各種判定結果]
○ルミナスについての<知識>判定:
ストレイ8、アイナ15(予備1使用)、ナリス9(予備1使用)
本文の通りの情報を得ます。
※学生の手伝いによる+2の修正を加えています
○老竜についての<知識>判定:
アイナ14、ナリス12(予備2使用)、ストレイ5(予備2使用)
本文の通りの情報を得ます。
※学生の手伝いによる+2の修正を加えています
○<捜索>判定:ストレイ13(予備2使用)
賢者の学院に戻る最中に偶然、竜の鱗を入手していた、としましょう!
[備忘録]
○1ゾロ
アイナティート:2回
マーク :1回
ナリス :1回
ジュリア :1回
○支払い
アイナティート:60+60ガメル
ストレイ :100+60+50ガメル
ミル :50ガメル
○収入
ミル :120ガメル
追加報酬 :総額3900ガメル
○消費
ミル :羊皮紙2枚
ストレイ :「仕事」用の地図
ライス :ダンマルク伯爵宛の紹介状
○入手
ストレイ :『星』の破片、森の地図、被害状況の地図、竜の鱗
カテゴリを移動します。
「合流」に記事を投下するのでお待ちください。