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【進行C10】泣き虫ビューイ。

GM [2013/12/30 18:47]

エリオールが虹色の閃光に包まれた数瞬後、
その衝撃から各々が目覚めた始めたその時。

ふぁぁぁぁぁ...

それはそれは盛大な生欠伸が鳴り響いた。
その余りの緊張感の無さに、何人かは腰砕けた事だろう。

「...竜は、目覚めました」

何時の間にか伯爵達の近くまで戻ってきたミナが宣言した。
そう、鼾では無い。欠伸だ。

「...と言う事はつまり...」

その場に居た誰かが呟いた。

ぬおおおおおっ

夕闇を背に、ゆっくりと巨大な影が起き上がる。
朱に染まる視界が、闇に閉ざされる。

『アアアアアアア、ヨゥク、寝タナア...』

圧倒的な声量を誇りつつも、巨躯に似合わず何処か垢抜けない声質。
発せられたのはリザードマン語であった。

―――こうして【泣き虫】ビューイは、数百年の眠りから目覚めた。

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『.........』

ビューイはその長い首をゆっくりともたげ、周囲を見回した。
目は半開きで、口からはだらしなく涎が垂れている。

『.........』

どうやら、まだ意識は完全に覚醒していないようだ。
状況の把握を、一生懸命にしている様にも見える。

『.........、!?』

表情が一変した、ように見えた。
瞳孔が開き、口が大きく開かれる。

『此処ハ人間ノ...街...何デ?』

そう呟くと、大粒の涙をぼたぼたと流し、嗚咽した。

『苛メナイデ、苛メナイデヨォ!!』

頭を抱えてうずくまる。
最強の生物たる竜の情けない姿に、一同はただ唖然とするしか無かった。

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『...そうか、僕はまた、戻ってきたんだね...』

最初にビューイに話しかけたのは誰であったか。
人間との会話に際し、ビューイは下位古代語に言葉を切り換えた。
この辺り、見た目と性格はアレでも、
知性は老竜にふさわしく豊かなのが証明される。

『僕をよってたかって苛めた
 カストゥールの奴らはもう居ない。
 だけど、エルミナートもディーノも
 ハルディオも居ない...』

挙げた名前は伝承に残る友好的な魔術師達の名前だろうか。
ビューイは意気消沈といった様子だ。

『僕には友達が居ない...
 皆僕を恐れるし、せっかく仲良くなっても、
 皆先に死んでしまうんだ』

背中を丸くして首を落とす。
この言葉には、深い悲しみが滲んでいた。

『それに、僕のせいで街をこんなにしてしまった』

ビューイはますます縮こまる。

「そうだ!この落とし前をどうしてくれる」

「償え!死んで詫びろ」

「お前さえ居なければ、お前さえ居なければ!」

ビューイが気弱だと分かって気が緩んでか、
市民達はこぞってビューイを一斉に非難し始めた。
先刻のミルの説得も眼前の怒りですっかり吹き飛ばされた格好だ。

『う、うぁぁぁぁぁん!
 ごめん、ごめんよぉぉぉぉぉ』

ビューイは滝のように涙を流し、泣き伏せる。
そのやかましさたるや凄まじく、それがまた市民の激情を煽る。

「ほ、本当にはた迷惑な奴だ!」

「出て行け、一刻も早くこの街から出て行け!」

市民達は怒りに冷静さをすっかり失い、再びビューイに詰め寄らんとする。

『ひ、ひぃぃぃぃ』

ビューイが頭を抱えてうずくまる。
冒険者達は、この状況にどのように行動したであろうか?

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【GMより】

ビューイが目覚めてから再度市民が暴発寸前になるまでです。

[各種判定結果]

今回は無し!

[備忘録]

○1ゾロ
 アイナティート:2回
 マーク    :1回
 ナリス    :4回
 ジュリア   :1回
 ミル     :1回
 マーク    :3回
○撃破
 ナリス    :オーガー1体50点、ゴブリンロード1体40点
 マーク    :ゴブリン4体80点
○支払い
 アイナティート:60+60ガメル
 ストレイ   :100+60+50ガメル
 ミル     :50ガメル
○収入
 ミル     :120ガメル
 追加報酬   :総額3900ガメル
○消費
 ミル     :羊皮紙2枚
 ストレイ   :「仕事」用の地図、被害状況の地図
 ライス    :ダンマルク伯爵宛の紹介状
○入手
 ストレイ   :『星』の欠片、森の地図、竜の鱗
 ジュリア   :竜の鱗
 アイナティート:竜の鱗
 ミル     :竜の鱗

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