とにかく手を付けよう

葉巻咥えて見物と決め込むつもりやったけど、あれれれ妙なことんなってきたな
眠りから覚めたビューイは想像通りの、味わい深いドラゴンで、早速友だちになろって思ったのに
ちょぃとやな空気
伯爵様が困ってたら伯爵様に詰め寄り、ドラゴンが弱きになったらそっちへ
パニクってんのはわかるけど......
「ガタガタ、ルセぇ・・・。 いけすかねぇ・・相手が弱気と見れば、まくし立てる・・。 てめぇら、誇りってもんがねぇのか!!」
同感や
てかまず先に、ほっとしようよ市民諸君
あぶないことなんもなくなったんやから
好転した途端殺気立つって、急がしすぎやん?
『そうだな。ここは一つ、お詫びの印として、だ。 皆に綺麗な花火でも見せてあげなよ。』
うん、とりあえず一発かましたるのがええやろ
『ウチも見たい! レポートあんねん、盛大に頼むわー』
やんやをひとついれておく
しかし、ビューイが欲しいのは畏怖ではなく、ともだち
もうひとつ、なんかないか
考え込む
「喧しいわ貴様ら!」
凛としたアイナの声が通り抜け、は、と顔を上げた
まずは住民に向かうて、ウチらを含めて、今回がんばった人たちの気持ちを思いっきし代弁
返す刀でビューイにも説教!
ちっちゃなエルフがエルダードラゴン相手に声上げてる姿は語りぐさになりそうなくらいインパクトあるな
『......優しさは美徳だ、だが貴様のそれは優しさのみならぬ、怯懦であり、弱さだ。泣いてばかりで事態が解決することはない。
貴様には泣く以外に出来る事がいくらでもあるだろう、エルダードラゴン。
貴様の古代語魔法も、竜語魔法も、そしてその巨大な体も。人間には出来ぬことを容易に成し遂げられるはずだ。
人を傷つけたことを嘆くのもいいだろう。だがそれに終始してはならん。償いをしたいのなら、それは貴様がしっかりと行うべきだ』
叱ったあと、そう説くアイナ
償い、か
「あ、そっか」
ウチはぽんと手を打った
アイナええこというた
マークの提案と合わせれば、きっと効果はあるかも
「ダンマルク伯」
みんながビューイに気を取られとる間に、ウチは伯爵様のとこに近づいた
「とりあえず復興、はじめませんか?
今から」
意味深に笑いながら、親指でビューイを指す
「十階梯古代語魔法に無尽蔵の精神力
石奴隷だけでもどんくらいの労働力になるか......せっかくですし、手をかりませんか?
魔法の組み方次第でいろいろできるから復興費用も浮きますし
それから、復興が終わったら、新たに契約をしてはどうでしょう?
街がいつか災害や戦災に巻き込まれたとき、ビューイが森からやってきて守護する、と
ドラゴンの守護ある街、なんて、ざらにある話ではありませんし、安全面でも、あるいは観光資源的な意味でも、財政的なピンチを救うきっかけになるかもしれません」
一番大事な、気持ちという面では、一緒に働けば、もうちょっとこう、仲良くなれるかも、なんてね
『ビューイ!』
えいやとさしあたりの瓦礫をもちあげながら、声かける
『手伝ってぇな』
そう、その巨体と、十階梯になんなんとするスペルのコレクションで!
『友だちなんて、そりゃいつかは死ぬけどさ
せやったら、街と友だちになったらええやん?
おらんなった友だちも、それ望んでんやないかな』
作業しながら、そんなことを話してみる
ビューイにとっての報酬は、ただ、友だちでいてくれること
それがたとえ、普段は会うことができない市民だとしても
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ブレス見物してるであろうダンマルク伯に、ビューイに復興を手伝わせることを提案してみます
それから、有る程度事態が好転したら、ビューイと街の契約も提案してみます