アウゴから見た闘い

「エイメーデが」「重たかったであろう?
「持っていけって」
大切に使わせていただこう。」
二人のピクシーが差し出す魔晶石を、掌に載せてゆっくりとうなずく。
「アウゴ、いた?」「あぁ、狙い通りと言う訳には参らぬようだ。
二羽いる。」
視界に浮かぶ赤い塊は二つ。
地面に近い大きな塊、その手前の小さめの塊...
早々狙い通りと言う訳にも行かぬものだな。
「パイソンよ!」想定外がもう一つ...か。
ピッツの声に、背後を振り返れば長く伸びる影が見える。
「メル、そっち先によろしく!」
「テッツ、ピッツ、ひとまず後ろだ。
闇の精霊で意識を絶つぞ!」
ハトハの声に続けて、肩の上の二人に指示を飛ばす。
『暗黒に住まう不可視のものよ、暗き導きを我が敵に、漆黒。』
言霊を紡ぎ、暗闇の中にさらに深い漆黒を呼び出す。
三人で仕留めるつもりが、わずかに届かなかったか...
「こちらは任せよ、まずは仇の一匹目にとどめを差して参れ!」
背後に鳥の叫びを捉え、二人に次の指示を飛ばす。
さて、こちらはどうしたものか...
『暗黒に住まう不可視のものよ、暗き導きを我が敵に、漆黒。』
集中しろと言う方が無理というものだ...
無駄に終わったか。
「メルティ、主が振りほどくまで手が出せぬ。
抜けたら合図せい。」
振り返った刹那、テッツの叫びが聞こえる。
仇の一つ目は取ったようだな。
残るは親鳥か。
ハトハもいるなら、体力を削るのが得策であろうな。
「テッツ、ピッツ、光の精霊で体力を削るぞ。」
肩の上の二人に指示を出して、俺自身も言霊を紡ぐ。
『光に住まう不可視のものよ、白き導きを我に、光球。』
闇に浮かぶ白い球体を、巨大な鳥めがけて放つ。
ちりっ、とかすかに何かの焦げるような音がしたが、ひるむ様子すら見られないとは...
作戦を間違えたやも知れぬな。
考える間に、背後からメルティの声が聞こえる。
ならば、
「メルティ、鳥の方を頼む!」
『暗黒に住まう不可視のものよ、暗き導きを我が敵に、漆黒。』
180度の方向転換と同時に、闇の精霊を大蛇に叩きつける。
後で皮をいただくとしよう。
「テッツ、ピッツ、闇の精霊を呼べ!
光の精霊ではらちが明かぬ。」
肩の上の二人に、三度指示を飛ばす。
それにしてもキツイ...
残る石は一つ、テッツもピッツも限界が近いな。
「ハトハ、メルティ、すまぬがしばししのいでくれ。
集中力が持たぬ!」
攻撃をかわすハトハと鳥に切りつけるメルティに、背後から声をかける。
休むことしばし、鳥の嘴がメルティに刺さった刹那、肩の上でテッツの紡ぐ言霊が耳に届く。
やるなら今か。
『暗黒に住まう不可視のものよ、暗き導きを我が敵に、漆黒。』
親鳥に闇の精霊をたたきつける。
苦しげな叫びが漏れた、ような気がする。
肩の上のテッツが、ゆっくりと倒れる様子が、視界の端に見えた。
差し出した掌に、その軽い体がふわりと落ち、ピッツの悲鳴にも似た叫びがこだまする。
『案ずるな、息はある』
掌をそっと持ち上げれば、かすかに寝息が聞こえる。
精神の力を使い果たしたのであろう、この小さな体で良く闘ったな、テッツ。
-PLより-
う?む、冗長になってしまいましたかね。
戦闘シーン、アウゴ編でございます。
ラストで少しテッツとピッツの行動を描写してしまったので、NGであれば修正かけます。