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蛇足

アウゴ [2014/10/17 11:06]
「あぁ、ようやく動けるでござる。
飯の支度をさせてしまってすまぬな。」
肉の焼ける香ばしい匂いに誘われ、俺はたき火の近くの二人に声をかけながら近づく。

「蛇がここまで美味いとは、寡聞にして知らなかったな。
次からは蛇を見る目が変わってしまいそうでござるな、『危ない』ではなく『食いたい』に。」
蛇の肉をむしゃむしゃと頬張りながら、軽口をたたく。

「腹もくちくなったところで、帰るとしようか?
ハトハ、道の方頼むでござる。」
仮の寝床からテッツを拾い上げ、マントのフードにそっと入れて、

「ピッツも疲れたであろう?一緒に入って行け。」
肩の周りを飛んでいるピッツにも声をかける。

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「ひとまずはゆっくりお休みなあ。さあ、お飲みよお!」
ロドホンとエイメーデのもてなしと、のんびりした語りに、一日の疲れがふっと溶けていくような気がした。
解けたのは緊張もか、いつ寝床に入ったのかも覚えていない。
起きて見れば、エイメーデの呆れたような声が聞こえる。
「ようく、眠ってたなあ」

「この奥には入れない部屋が幾つかある。
 だけんど、俺には開けられねえし、そのつもりもねえ」
ロドホンに案内されたねぐらの中は、森とは明らかに異質な人工物の壁や扉が見える。
俺たちが入ってきた遺跡と似ているようにも思えるが、何やら危険な匂いがする...
まだこの中の『モノ』に挑むには、力が足りぬことは明白だ。
隣りのハトハも同じことを感じているのだろうか?アイツなら、危険を承知で突っ込んでしまいそうだが...

「主らに迷惑はかけられぬ故、今日の所は開けずに帰るでござるよ。
別の入り口も存じて居ることだし...」
ロドホンは釘を刺したつもりなのだろう。
今日の所は、大人しく釘を刺されて引き上げるとしよう。
ここを開けずとも、この前の入り口からでも入れるのだしな。


「あんたたちのお陰で助かったよ。
 少しずつだけど、逃げた動物たちも帰ってくるだろうしなあ」
「道々、こいつを奏でておくよ。
聞こえる連中が少しは戻ってくるでござろう」
ポーチからブルースハープを取り出して見せる。

「有難う。お父さんとお母さんの仇が討てた」
「みんなも、もう少しすれば帰ってくるって、私信じてる」
「二人のおかげで生き延びたようなものでござるよ。
この森の平和はお主らが守ったと、語り継ぐ者もいよう。
勇敢な小妖精の物語をな。」
テッツとピッツに礼を返し、小さく頷いて見せる。

「縁があればまたいつか」
ねぐらの入り口で、見送る森の住人達に手を振る。
問題は、俺には道を覚えられないと言うことなのだが...