◇オランへ

ジョナサン・コッカー氏の視線を感じつつ、俺はいつものことを、いつもの通りこなすだけ...。
「お得意先の鎧職人が喜ぶぞお!
それに、本来私の商売ではないが、武具職人にも売り込める」
俺の仕事をその道のプロが気に入ってくれたとなれば少々気恥ずかしい気もするが、素直に嬉しい。
「これほどでかい獲物をばらすのは久しぶりでした。普段はアナグマくらいが限界ですから..ねぇ。」
傷もあらかた塞がり仕事もうまく行ったとあれば、機嫌も自ずと良くなるってもんだ。
作業途中、俺の体に噛みついた牙、引き裂いた爪を改めてまじまじと眺めてみた。
「この牙と爪にやられた...。もしこの牙が、もう少し深く刺さっていたら俺は...。」
見方は変だが、ある意味で牙が俺の命を救ってくれたような気がした。
俺はその牙を慎重にえぐり取ると、よく洗い持ち帰ることにした。
しっかり乾燥させたら、根元に穴を開け革紐を通して首にでも掛けてみようか。
◇◆ ◆◇ ◇◆
アウゴ、ハトハ、メルティーナを加えた俺たち7人はメギンズ庄を後にし、
いよいよオランに向けて帰路に立つ日がやってきた。
ジョナサン・コッカー氏とメギンズの、別れを惜しみつつ、
それでいてどこかビジネスライクな語らいを聞きつつ「街に住むやつは...」
ってな毎度のフレーズが頭の中にリフレインしかけた頃、ロッポとその妹夫婦がスッっと寄ってきた。
ロッポはエーリアン、ティノ、そして俺と一人づつ握手を交わす。
短いながらも共に戦った仲間との別れだ。言葉はあまり必要無い。
「あの...」
あの状況下で生き残ったルポルとハルラの子だ、
きっとこの地に住まった一族の霊に祝福されて生まれてきたに違いない。
「リアン。リアンにしようと思うんだにゅう」
一族の霊に祝福されて生まれてきたに違いない子供に、人間の名前を分けるなんて、
草原の妖精にしては洒落れてるなんてもんじゃないな。
赤子を抱きかかえ、エーリアンが語ることを俺たちみんな、感極まりながら聞いていたことだろう。
俺はふと、エーリアンを見ながら俺に精霊との交信の仕方を教えてくれた森の妖精が語ったことを思い出した。
『英雄とは何も優れた者の事ばかりを言うのでは無いぞ。
真の英雄とは多くの助力をえる者の事を言うやもしれん。
いやむしろ周りの者が助力を惜しまない者とでも言おうか。
まあ、そのうちオマエにもこの事の意味が分かる日が来ることもあるだろうて。』
さぁ、もう出発しよう。早く出発しないと、こいつらと離れられなくなってしまうじゃないか。
◇◆ ◆◇ ◇◆
徐々に小さくなって行くメギンズ庄。
「達者でなー!あばよっ!」
最後まで賑やかなエーリアンだった。
後から合流した3人がさっさと先を進む後方でジョナサン・コッカー氏とティノ、
そして俺はしばし立ち止まり、そんなエーリアンを眺めつつ、改めてお互いの健闘を称え合うのだ。
We did it!
【PLより】+--------------------
まずは虎の牙のアミュレットゲーッと!
つづいてオラン編で報酬、経験点をゲーッとします(笑)