Sword World Web 5 セッションサイト

別れ

ティノ [2014/10/28 00:43]
「ティノ兄ちゃん、弓の使い方を教えて欲しいにゅう!」

「お兄ちゃんの弩、大きいにゅう!触らせて欲しいにゅう!」

「鳥や虎を倒したあんて、凄いにゅう!」
エーリアンは住民の手当てに追われ、ファもまた倒した獲物の解体に時間を裂いている。
そんな中、比較的手の空いている俺の所に子供が集まってくるのも必然か。
俺達が庄では珍しい客人というポジションである以上子供の好奇心は抑えられないよな。

「おうおう、まあ落ち着けって。俺の体は一つしかないんだぜ」

俺は知ってるぜ。
同族の子供ってのはうだうだ言葉で説明してやるより実演してやったほうが喜ぶってことを。
背中に負った弩を下ろす。
腰のポーチから一本の太矢を取り出し、きつく巻きつける。

「ターゲットはあの木だ」

20mくらい先にある太くも細くもない木を指差す。
両手で弩を持ち直し、射撃体制に入る。 ......外したら格好悪いって騒ぎじゃねぇよなぁ。
バシュッ!と、弾性の力を利用して矢が放たれる。
勢いのついたそれは直線を描いて、深く木にめり込んだ。
ケチの付けようのない当たりに子供からも歓声が上がる。

「ま、こいつはちょっと特殊な弓だから扱いは難しいかな。
簡単な弓の使い方ならルポルやロッポに教えて貰うといいと思うぜ」



そして数日後。
全員の怪我も癒えて、庄の機能も回復に向かってきた。
俺達がここに留まる理由も無くなった。
悲しくはあるが、しかし後ろめたさは無い。
ま、放浪草原妖精を続けてきた俺が、後ろめたさで足を止めてたら俺じゃねぇよなぁ。

見送りは庄のほぼ全員が来てくれた。
メギンズさんやロッポ、ルポルやハルラの姿も見受けられる。
勿論、子供達の姿やハルラに抱かれた赤ちゃんの姿もある。
改めて俺達はこれだけの人を救えたのだと実感出来た。
一人一人の笑顔を見ると何とも嬉しい気持ちになる。
「あの...」
一通り庄の皆と別れを終えるとハルラとルポルが前に出てきた。
「この子の名前、2人で考えたんだけど、にゅう」

「リアン。リアンにしようと思うんだにゅう」
「リアン......なる程ねぇ。いい名前じゃねぇか」

戦闘面での虎退治に加え、医療面でも庄の覚えが良かったって証か。
当のエーリアンはハルラから赤子を抱かせてもらっている。
そして自分が父親かのようにリアンへと言葉をかけていく。
「リアン...家族を...大事にな。」
深く深く言い聞かせ、ハルラの下にリアンを返す。

「......さぁー行こうぜ。これ以上は体に毒だ。
また会う日までのお楽しみだぜ。そこにいるリアン共々な!」

足をオランへ向けて一歩踏み出す。
こうして 俺達のメギンズ庄での戦いは終わった。



子供相手に格好つけるよ!
格好つけるつもり無かったけど書いてたら格好つけてたよ!

17:47:59 zeno@ティノ 2d+7 Dice:2D6[3,6]+7=16

問題なし(`・ω・´)