【A01-04】凸凹コンビ。

エーリアンは衛視に必死に状況を伝える。
「ああ!ちょいと緊急事態だから事実だけをかいつまんで話す!
この女性の症状から見るに...
恐らくだが毒が体を回ってやがる、急がないと手遅れになるかも知れねぇ
俺は...ただの温泉客だ。だがちょいと医学の知識があるんでな、
悲鳴を聞いてまさかと思って駆けつけたらこの有り様だ。」
「毒!?一体何が起きたんだ?」
衛視はエーリアンの言いように驚く。
「だが、ちょっと待て!
医学の心得があると言うことと、お前が女湯に入ると言うことは別だろうが!」
衛視の言うことは尤もである。
幾ら何でも彼の説明は大事な部分が抜け落ちまくっていた。
「そこのモーリスも一緒に来てる仲間だ、細かいことはモーリスに聞いてくれ。」
然るべき釈明を、エーリアンはモーリスに託した。と言うよりも、丸投げした。
モーリスは憮然としたであろうか、否か。
「私はモーリス・アバックです。彼はエーリアン、二人ともオランから来た冒険者です。
配達の依頼のためノートンに来ています」
だが、表面的にはここが出番とばかりの勢いで説明を始める。
「私達は今日仕事を終え、温泉に浸かろうと思ってここに来ましたところ、
その入浴場から悲鳴が聞こえましたので、『どうしましたか』と聞いたのです。
そうしたら『中で人が倒れている』『下着がなくなっている』と返答がありました。
このエーリアンは倒れている人物を救助するために浴場に入ったのです。倒れた原因および下着が無くなった原因についてはわかりません。
少なくとも我々は関与していません。
浴場にいる人々にも聞いていただければ同じ事を言うと思います」
それは実に的確で要点を掴んだ内容だった。
エーリアンの悦明に欠けているものを全て補完していた。
流石は昔取った杵柄、といったところか。
「なるほど、事情は分かった。モーリスといったか、感謝する。
エーリアン、相棒に感謝するといい」
衛視は得心した様子だ。
内1人がすぐに脱衣場に大声で呼び掛け、話の裏を取る。
その直後、女性の手を借りに駆けていった。
「ところでその気を失っている人物なのですが、
いち早く神殿に連れて行くのがよいと思われます。
良ければ神殿まで案内していただけないでしょうか?」
モーリスの引き続きの提案はこれまた全うなものであった。「確か...ノートンには神殿があるよな?
今から患者を神殿まで運ぶ!神殿の場所が分からねぇから衛視さんも手伝ってくれ!
場所は...俺はチャ・ザの神官だからチャ・ザの神殿のほうがスムーズに行くと思う」
エーリアンはチャ・ザ神殿を勧める。
「言いたいことはよくわかるし、俺が怪しい立場なのは自覚してるが
詳しい話は神殿に行ってからでも遅くはねぇ...頼めるか?」
「分かった、君の言うことはよく分かった」
この場に残ったもう1人の衛視が苦笑する。
「チャ・ザ神殿に案内しよう。
介抱せねばならないし、可能なら身元確認や経緯も本人から聞きたいしな」
調査は応援を頼みに行った相方に任せることにし、
衛視は2人をチャ・ザ神殿に案内してくれると言う。
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【GMより】
2人の方向性のベクトルというか凸凹ぶりが楽しいですね!
此方はAルート、モーリスとエーリアンのルートになります。
本文の通りですが、エーリアンの説明は端折りすぎでした(笑)
モーリスの完璧なフォローが光りましたね!
衛視が二手に分かれます。
女性の応援を呼んで現状確認する側と、
エーリアン&モーリスをチャ・ザ神殿に連れて行ってくれる方です。
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