癒しの光

チャ・ザ神殿の一室に通された俺は部屋の寝台に女性を下ろす。
ここまで来たら一安心って言ってもいいだろう。
「とりあえず、ここまでは来れたか
衛視さんに感謝しないとな」
>「お待たせしました」
神官らしき女性が部屋の駆け足で入ってきた。
俺なんかよりよっぽど信仰に厚い人だろう、これで彼女は助かるだろうか。
心配そうな顔で苦しむ女性の顔を見つめることしか、今の俺には出来ない。
>「衛視殿、詳しい話は後で伺います。
>取り敢えずは、彼女の容体を確認させてくださいな。
>領収証は...」
>「はい、後で子爵閣下へご請求ください」
まぁ、そりゃお金取るよな。
冷静に考えたら当たり前だが、運ぶときは焦っていて考えもしなかった。
俺が負担しろって話だったら、ちょいと飯が寂しくなるとこだったな。
「子爵...たしかノートンを収める領主は...誰だったか?
まぁ、何にしても太っ腹な領主様だな」
小声でポツリと呟く。
一山当ててお金持ちになったらノートンで隠居するのもありか、温泉もあるし。
治安も統治も悪くないなら、俺は大歓迎だぜ。
>「殿方はしばし後ろを向いてくださいな」
老後の考えをふくらませていると、司祭さんに注意を促された。
「あっ、ああ...了解だ。」
慌てて180度向きを変え、壁をしばし見つめる。
背後から衣類の擦れる音が聞こえる、冷静に考えたらなかなか妙な状況だ。
少し、煩悩が思考にすまおうとするので払いのけるように壁を見つめて無心を心がける。
>「分かりました...やはり麻痺毒ですね。
>刺された後があります。色々な可能性はありますが」
やはり、毒か。
それも刺された後...コレが人間の手によるものだったとしたら...
これで万事解決!とはならねぇだろうな。
それにしても首の傷跡を見逃すとは俺としたことが情けない。
女性だからって、診てる側が恥ずかしがってちゃ笑い草だ。
「少し傷跡を見せてもらっていいか?」
許可をとった俺は、少し傷跡を見せてもらう。
「...ん、ありがとよ」
その後、治療を行う司祭さんを何かの勉強にならないかと
祈り方、視線、手の動きなどを観察する。
>―――幸運と交流を司りしチャ・ザよ、此の者を蝕む毒を消し去り給え―――
青白い光...これが。
「これが...チャ・ザ神の...いや、神の力...」
実際に、神の奇跡を目に見える形で見たのはコレが初めてになる。
俺はガキの頃から健康体だし、孤児院は貧乏だから神殿に頼めるような金もない。
実際、この歳になるまで神殿は金持ちしか助けてくれない場所だと思っていた、少なくとも俺の住む町の神殿はそうだった。
今、俺にはチャ・ザ神が力を貸していてくれる。
信仰を深める機会があれば、病を癒やすこともできるようになるだろう。
だがずっと昔俺が子供だった時に、この力があれば救えた命も有ったかも知れない。
どうしても...そんな事を考えてしまう。もう、どうにもならない過去のことを。
>「.........?......」
女性の震えが止まった...目もぱっちりと開いていて眼振もない。
つまりは...だ!
先ほどまでの憂い気な表情が自然と笑顔に変わる。
>「......私は......っ!」
「おお、目が覚めたか!コレで一安心かね
?見た感じ、多少の混乱はあっても問題はなさそうだな」
目覚めた女性にパタパタと手を振りながら話を続ける。
「おはよう嬢さん、ここはチャ・ザの神殿。
そこの司祭さんがアンタの毒を取り除いてくれた、アンタは風呂場で倒れてたんだ。」
簡潔に状況を説明する。もっとも混乱のほうが大きいと思うが。
>「私はモーリス。彼はエーリアンです。
>何か必要なものがありましたら言ってください。用意しましょう。
必要な物があったら用意する...か、モーリスも案外気が利くやつだ。
ええい、人を指をさすな!マナー悪いぞぉモーリスくんよ...」
本気で嫌がってるわけじゃあない。
こんな状態のアンタから金をふんだくるわけにも行かねぇし
今回はロハで働かせてもらうさ、風呂場から運んできたのも俺らだしよ。
「ああ、いつまでもアンタアンタってのも失礼な話だな
名前、思い出せるか?」
PL・微妙にエーリアンの過去を醸し出すRP
女性に現在の状況と何かあったら頼っていいよーと告げます。
そして、とりあえず名前も聞いてみます。
神聖魔法についての基礎知識 2d6+4 Dice:2D6[2,2]+4=8
領主に関する知識 2d6+4 Dice:2D6[1,2]+4=7
傷跡知識 2d6+4 Dice:2D6[2,5]+4=11