湯煙の先に

「エーリアン、コンスタンツさんが倒れていたのはどこですか。
ちょっとコンスタンツ役をやってみてください......」
脱衣所に赴いた際、さぁどこを調べようかという時。
モーリスがそんなことを言った。
「ん?ああ、了解だ。
さて...だいたいこの辺りかね」
記憶をたどりコンスタンツが倒れていた場所を想起する。
だいたいこの辺だろうか?目安を付けた場所で俺は横たわった。
「この辺りだったはずだ、何か分かるか?」
しかし、倒れていてもモーリスの姿がほとんど確認できていて、棚も大した遮蔽になっちゃいない。
コンスタンツは一体何を見たんだ...?
ふと、モーリスの方を見ると何かを食い入る様に天井を見つめている。
俺も気になってモーリスの視線を追う、するとずいぶん古めかしい天窓をモーリスは見ていることに気づいた。
「うーん?どしたモーリス。
?...最近、何かが擦れたような跡がある?」
ゆっくりと体を引き起こし、俺も天窓をじっくりと観察する。
「見た感じ、ずいぶんと狭いな
?俺みたいなガタイのいいナイスガイじゃ通るのは無理だぜ...?
?...いや待てよ、このサイズを通れるやつならここから出入りができる...」
頭のなかで情報を整理する。
まず、天窓を通ったと仮定すると...最低でも天窓を通れる大きさになる。
更に寝転がっていたとしても棚じゃ大した遮蔽にはならない。
ここから、人間大の大きさの生物は特例がない限り外せるか。
さて、天窓を通ってコンスタンツにも上手く見ることが出来ない生物が居たとして...
そいつは麻痺毒を何らかのやり方で使うことが出来て、更にペンダントを盗む程度の知能はあるわけだ。
ここからジガバチは除外できるか...あくまで毒とペンダントを持ち去ったのが「同じやつ」ならって仮定だがよ。
生物なんて山ほどいるが、条件を指定して絞り込んでいくと嫌でも該当する生き物は浮かび上がってくる。
「インプ...そうだインプ!
妖魔にそんな名前のがいたはずだ!
インプには毒針もあるし、そこの天窓もくぐれるんじゃないか?」
「よくは知らないが、あれも使い魔みたいなもんだろう?
誰かに命令されて、ペンダントを持ち去ったってのはありえるぜ」
仮定の条件で憶測の域を出ないが、この発想は真実味を帯びているような気がする。
しかし、未だわからないことのほうが多い...まだまだ調査する必要があるだろう。
「まさか、闇司祭が?」
モーリスがポツリと呟く。
「そこまではわかんねぇな...だが、ちょいと嫌な予感がするってのは確かだ」
闇司祭、いわゆる邪神と呼ばれる存在の行為代行者。
ちょうどいい休息になると思ってやってきた温泉から、いろんなことに繋がっていっている。
温泉の湯けむりのように状況は不明瞭だが、いつか湯けむりが晴れ渡ることはあるのだろうか?
どちらにせよ、まだまだゆっくりと風呂に浸かることは出来ないらしい。
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PL・遅れてるってレベルじゃないでござる丸
さぁ次も行ってみよう!