日常への帰還

我々は闇司祭を叩きのめし、コンスタンツから奪った首飾りを取り戻した。
闇司祭は衛視に引き渡し(歩かせる際には衛視だった頃に習った逮捕術が活用された)、首飾りは無事コンスタンツの元に戻った。
そして今は、温泉に浸かりながら、この依頼のことを思い返している。
もともと温泉に浸かりに来たのが発端だった。
そこでコンスタンツに出会い、事件に巻き込まれたのだが、どうにか事件を解決に導くことができた。
終わってみればそれだけの話である。
あの首飾りにどんな意味があるのか、闇司祭の男がなぜそれを欲していたのかは知らない。
だが、それは私が気にすることではない。
あとはオランに戻れば非日常から解放される。
冒険者なのにおかしな話かもしれないが、私は平穏な日常が恋しい。
宿でごろごろして、たまに街をぶらつき、戯れに書物を漁る、そんな暮らしを好いている。
ずっとそんな暮らしをするわけではない。
いずれ自分から非日常を探す。
それは生活のためでもあり、日常を我が愛しき日常たらしめるのに必要なことだ。
誰にも強要されない気楽な暮らしが続けられるのなら、冒険者はいいものだと、私は思う。
駆け出しの身でこんな事を思うのは、幻想でしかないのかもしれないが......
今はとにかく、一つの仕事を終えた余韻に浸るこの瞬間を味わっていたい。
そう思って私は、湯の中に体を伸ばした。
さて、エーリアンはというと、喋っているので私もそれに相槌をうったりしていた。
「今回うまく行ったのもエーリアンが率先して行動してくれたおかげです。
特にコンスタンツがいなくなった時は......
どうしようかと思いましたしね」
これは本音だ。 彼とはオランで活動するのならまた一緒に仕事をすることもあるだろう。
そうなれば、初めて会った相手よりも安心できる相手と思うことができるだろう。
今はこれでいい......。
何か問題があるなら、起こってから本気で考えるさ。
PL:
これにて私からの記事はお終いです。
ありがとうございました!