冒険という名の温泉旅行?

「暇だな......」
暫く学院に篭って勉学に励んでいたがどうにも進展が見えなくなっていた秋晴れの今日。
数少ない知り合いであるところの衛視長も忙しいようだし、と気晴らしにとジョージの店に来てみたは良いが、暇であった。
私は特定のパーティを組んでるわけでもないし、そうホイホイ受けることが可能な依頼があるわけではないのは解ってるのだが。
周囲を見るが知り合いがいるわけでもなく、どうしたものかと悩みはじめたところでジョージから声をかけられた。
「何だ何だお前さんたち。暇そうにしてるじゃねえか!
そんなお前さんたちに素晴らしい依頼を持ってきたんだ。
何と!男子禁制、女性のみの依頼だ」
ほう。
「女性のみの依頼というのも珍しいな......。
で、何が素晴らしいというのだ?」
「依頼人は身元がしっかりしている。お貴族様だ。
しかも払いがしっかりしているんだ」
「ほう、それは確かに素晴らしいな」
私は今まで当たったことは無いが、よろしくない依頼主だと難癖つけて報酬を渋るなどといった話も聞くからな。
しかしなんだって女性のみの依頼なのだろうか。依頼主が女性なのか、ちょっとアレな依頼なのか。いやまあ後者だと店が通さないと思うが。
「貴族のお嬢さまの依頼かあ、それは楽しみ♪」
と、そのようなことを考えているところで声が聞こえた。
見れば、店に居た二人の女性の短髪の方のようだな。
「こんにちは! あたし、リノ・キャロルです! どうか宜しくお願いします!
同じ依頼になるのは初めてですよね?
あたしもまだまだ冒険者として若輩ものですけど、しっかりがんばりますから!」
「うむ、確かに初めましてだな、二人共。
私はいずれ偉大なる大魔導師として名を馳せる予定の美少女エルフ魔術師のアイナティート様だ。
よろしく頼むぞ」
挨拶を交わした後、早速出立の支度を整える。久しぶりの冒険だ!楽しみだな。
* * *
依頼を受け、温泉街へと来た。
道中さしたる情報は得られなかったが、とまれ着いたのだからよしとしよう。
領主である子爵の館で菓子をつまみながら待つことしばし。
依頼主であろう領主と、その妻と思わしき女が現れた。
「遠方より遥々、ようこそお越しくださった。
私がコールテンだ。このノートンを預かっている」
「そして此方が私の妻」
「マルグレーテですわ」
「あたしはジョージさんの店から来ました。リノ・キャロルです!」
「私は未来の大魔導師にして美少女エルフ魔術師のアイナティートだ......です。
冒険者の店で依頼を受けて来ました」
子爵夫妻の挨拶を受け、私も挨拶をして頭を下げる。
敬語は慣れないが、まあ多分大丈夫だろう。エルフだし。冒険者だし。
「さて、早速だが依頼内容について話をしたい」
と、子爵が口を開く。
むー、女性限定の依頼というからなにかと思っているが、どうなるかな。
「依頼内容というのは...妻を秘湯まで連れて行って欲しいのだ」
ほう。秘湯とな。
聞けばここいらには温泉が多く、安全であれば入りに行くのだとか。
「温泉か......じゃない、温泉ですか。
私はオランからあまり出ないので入ったことはありませんが」
私は宿にいる間は入浴をなるべく欠かさないようにしているが、温泉というのは行ったことが無い。
たしか、炎や土、水の精霊力が云々とか聞いたような聞かなかったような。
「私の道楽にお付き合いくだされば、貴女方も更に美しくなれましてよ?」
「何を言うかと思えば、私はすでにこれ以上ないくらい美し......じゃなかった。
ゴホン、えーっと、うん、はい。
美容はともあれ、温泉に入った経験はないので、普通の湯浴みとどの程度異なるのかは気になりますね」
つい口をついて自画自賛しそうになった。危ない危ない。
とりあえず学院の生徒っぽいこと言ってごまかそう。ごまかせたよな、うん。
旅回りの不安についてはリノが聞いているようだし、私は、そうだな......。
「依頼は受けるつもりですが、出立はいつごろとなりますか?
近辺の動植物や魔物の生息状況など、諸々の情報を知っておきたいと思いますし」
とりあえず、出る前に調べておくべきことは調べておこう。
山の中を行くことになりそうだしな。
買い物は、うーん......どうしようかな。魔晶石は高いからなあ......。
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PL:配管
うひぃ長い。
買い物は保留というか、とりあえずパス。必要経費は出るっぽいし。
魔晶石は前金で買うには高いのよね......。
そして近辺の情報について調べます。
配管@アイナティート : 情報を得る。セージ3+知力3 2D6 → 3 + 1 + (6) = 10 (11/19-14:25:55)