隊列のこと、野営のこと

「まったく、下着ドロなんて、本当に、すごーい、嫌ですよね! ねっ、アイナティートさま!」
「む?」
温泉に遊びに行く折、リノからそのようなことを言われた。顔が近い。
んー......。
「まあ、別に気にすることもないのではないか?
下着がなければ上着で体を隠せば良いではないか。見られなければ恥ずかしくもない。
確かに盗まれると迷惑ではあるが、予備の下着には余裕があるから特に困らんし。
そうでなくても、その辺の僻地ならともかくこれほどの規模の街なら下着くらい売ってるだろう」
まして私はマントもあるしな、と締める。
もしやリノは結構飾り気のある下着を買ってるタイプなのだろうか。ああいうのは高価だったりするし、確かに盗まれると嫌だろう。
* * *
「アイナさん、リノさん、ふたりとも野外の知識と技術(レンジャー技能)は覚えると便利だよ。
リノさんの場合は、身軽さとか罠とか近いのも多いし、基本的に使う場所の違いだから、すぐ馴染むはず。
アイナさんの場合は、薬草とか動物や植物の知識、地図作成もなにかと便利だよ。」
旅立ってすぐ、シャルロットから野伏の技術について勧められた。
便利そうではあるし実際便利なんだろうが、うーむ。
「心遣いは大変ありがたいのだがな、シャルロット。
その......なんというか、私は魔術の勉強で今は手一杯というか、なんというか......。
いや解ってるんだぞ?冒険をするなら野外活動を出来るようにするというのが良いというのは。
だが、こう、今は難しそうというか、な?」
さも「これで分かってくれるよな?」みたいな感じで話す。
ぶっちゃけると、もう少しで使い魔を持つ「一人前」の魔術師になれそうなので、他の勉強に回す余裕がないのだ。すまない。
で、隊列の話。
「こんな感じなのを考えてみましたけど、だめですか?」
曰く、シャルロットが先頭、夫人と私が間、殿がリノとのことである。良いのではないだろうか。
「まあ、危険や罠の感知が必要だし、今のメンバー構成から考えて、わたしが先頭になるのは当然かな。
道の幅にもよるけど、リノさんの案でいいと思う。」
「私も賛成だ。
私が前や後ろにいても余り役に立たないのは知っているからな」
「それ以外に、えと......夜の見張りの順番、決めておきましょう?
あとは旅行中の天気、アイナティートさまかシャルさん、予測できませんか?」
見張りの順番と、天気か。天気についてはまあ、シャルロットに任せておいて。
見張りについては......。
「夜の見張りの順番は、一番目マルガレーテさま、二番目シャルさん、三番目わたし、
というので考えてみましたけど、どうでしょうか......?」
「交代見張りに関しては、基本は魔法を使う人が長時間眠れるようにを考える必要があるけど、
今の場合は4人だから、二人ずつなら前半組と後半組に分けるという方法もあるね。
一人ずつなら夕方から朝まで4人で交代でまわしていくけけど、
その場合は、最初と最後は、アイナさんかリノさんになって、
真ん中2つは、わたしとマルガレーテさんになるのかな。
一人ずつで行くか、2人で組むか、どっちでいく?
わたしは二人ずつで前後に交代したほうが安全だとは思う。」
ふーむ、色々考えることはあるものだな。
この前野外での冒険をした時は見張りとか要らない感じだったし、新鮮だ。
そして新鮮であるがゆえに私の答えは決まりきっている。
「私もシャルロットに賛成だ。
安全面については何とも不慣れゆえ分からんが、その......、
私は、このような野営での見張りをしたことがなくてな、その、不安だから......」
しょんぼりと耳を垂らしつつ、情けない理由を挙げる。
い、良いんだ!誰にだって初めてはあるんだからな!
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PL:配管
進行前に仲間への反応を。
完全版を見るとセージに天候予測判定はなさそうなのですが、見落としがあるかもしれません。どこにあるのか教えていただけると嬉しいです。