闇照らす光

「お猿さん! あたしもあなたたちと一緒に戦いますから!
どうか力を貸してください、お願いします」
きぃ!きぃ!
「おおっ?猿を従えるとはすごいなリノ!私もそこまで考えてはいなかったぞ!」
リノの言葉を聞いてか、猿達が我々の味方になった......ような気がする。多分。
石垣で腕を振り上げる猿たちの方を見やれば、どうもあのボスは怪我以外にも問題がある。おそらく病気にかかっているのだろう。
「ボスの様子などを見るに、あの温泉には病を癒やす力があるようだ。それも中々強そうなものが。
まだ朧気だが、相手の狙いも見えてこようというものだな。
ああ、それとあの石垣、壊そうと思えば感嘆に壊せるもののようだ。
利用するつもりなら気をつけるべきだろう」
猿達が使ってる石垣にについても、分かる限りの内容を皆に伝えておく。
これから此処では淑女だけの愉しみが行われますの。
殿方にはお引き取り頂きたいですわね」
との夫人の言葉も頼りになるものである。実際彼女は強いので、安心できるのは当然だが。
などと考えていると、私達の啖呵をようやっと咀嚼し終えたのか、敵方のダークエルフ(多分)が喚き声をあげた。
『ふん、よくも好き放題言ってくれおって!
紛らわしい顔をした貴様!捕らえて嬲り者にしてくれる!
人間共は後でオーガー共の餌にしてくれるわ!』
フードを上げた中身はやはりダークエルフだった。まあ粗方予想していたが。
しかしまあ......と、奴の言葉を受けて思い切り嘲笑いながら、言い慣れたエルフ語で言い返す。
『はっ!なんとも小物らしく洒落っ気に乏しい物言いだなダークエルフ!
ま、貴様らのようなノータリンの妖魔程度としかつるめない汚泥の如き性根のクズ共ではそれが限度というところだろうよ!
生憎だがそんな貴様程度ではこの私、いずれ偉大なる大魔術師となるアイナティート様には到底釣り合わん!嬲り者など2000年は早いわ!
わかったらその肌に塗りたくった黒土を落としてから出直してくるが良い!』
うむ、やはり罵倒......じゃなかった、啖呵を切るならエルフ語に限る。いつもより2割増しで口が回る気がするぞ。
里では口喧嘩でもよく舌が回ったものだ。......ただ、今思うにそのせいで「黙ってれば器量よし」などと言われていたのではないかと最近気にしているのだが。
ともあれ、敵の動きを予測しながら思案する。見れば、コボルドはこちらに寄ってくるようだ。
そして......えーっと、ダークエルフは手元の......暗晶石か?を使うように見受けられる。
我々に暗視が備わっていない以上、『暗闇』の魔法は最も危険視すべきものだ。
コボルド他も鬱陶しいが、幸い即座に戦うほどの距離でもない。『光輝』の魔法を使ってからでも対処は間に合うだろう。
「......というわけだ。
シャルロットが突撃するつもりなら、私が『光輝』の魔法をかけてからにしてはくれないだろうか?
幸い、コボルドの隙間を抜けて向こうまで行くことは可能だろうし」
と言った具合に伝え、敵が動くのを待ってから魔法を唱える。
「『万能なるマナよ、闇照らす光となれ』――よし、ついたぞ」
シャルロットの持つヘビーメイスが魔法による輝きを見せる。
出来は少し微妙なところだが、暗闇との相殺は問題なく可能だろう。
「それじゃあ、後は任せるぞ。
私はあのコボルド共をなんとかしてから加勢しよう」
油断なく杖を構え、戦場に目を戻す私であった。
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PL:配管
さすがにそろそろ書かなきゃ......。
あ、夫人の宣言については頼んでもよいでしょうか。
【宣言】
行動順を0まで遅らせ、シャルロットの所持するヘビーメイスに『ライト』の魔法をかけます。
配管@アイナティート : ライト発動判定 2D6 → 3 + 1 = 4 (01/07-06:23:33)