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【進行D14】解析結果。

GM [2013/09/11 16:43]

パックとアシュレイ、アイナティートは賢者の学院へと向かう。
その手には、彼の魔術師が残した研究日誌と薬品の類が握られている。
一度は衛視隊預かりとはなったものの、解読には賢者の学院の協力が必要だ。
3人は、そのパイプ役を任されたのであった。

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「やあパック君、久しぶりだねえ。
 正魔術師になったとは、嬉しい限りだ。
 今日は何の用だね?

 ええと君は確か...アシュレイ君とアイナティート君か。
 最近、有能な生徒がたくさん入ったという評判は聞いているよ」

パックは己の人脈を活かし、ヴィステリア導師の許を尋ねた。
嘗ては冒険者、それも戦士として名を馳せた人物で、
賢者の学院の門を叩いたのは随分と遅い。
魔術の才能に恵まれた方では無いが、不断の努力で今の地位を築き上げた。

「...成る程、事情と経緯は分かった。
 私はこれ等の分析と解読を行えばいい、という訳だね?」

3人が衛視隊から預かった書状を読み終わると、頷いた。

「結果が出るには...そうだな、この量だと1週間かかる。
 来週、この時間にまた来てくれ給え。
 その時には衛視長の誰かにも来て貰いたい...
 伝言をお願い出来るかな?」

ヴィステリア導師は3人にそう告げた。

「そうそう、パック君」

帰り際のパックは呼び止められる。

「不躾な話で申し訳無いのだが、君のその蛮剣、
 来週まで私に預けておいてくれないかな?」

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1週間後。
パックとアシュレイ、アイナティートはロバート衛視長を連れ、
再びヴィステリア導師の許を訪れた。
ヴィステリア導師の隣には、もう1人、中年の男性が掛けている。

「オラン衛視の長を務めるロバートです、ヴィステリア導師、
 お初にお目に掛かります」

「ようこそ、よくおいでくださいました、ロバート衛視長。
 ヴィステリアです。此方は...」

「賢者イライジャだ。霊薬の調合を専門にしておる」

無愛想の極み、とも取れる態度で紹介を遮り、自ら名乗った。
パックとアイナティートは彼を知っている。
賢者イライジャ。その博識と共に、無愛想と恐妻家でも有名な人物だ。

「先ず、霊薬の調合についてお話しよう」

イライジャが先陣を切った。

「麻酔薬に防腐剤といった類のものだな。
 材料に西方固有の植物が幾つか使われているのが分かった。
 話に聞く限り、被験体の処理に使ったのだろうよ。
 研究日誌を見る限り、趣味だけでやっていたようにも見えるが、
 この研究は、最終的には喪われた【屍肉彫像】の作成に繋がり得る...」

学院で行っていたら追放ものだな、と結論付けた。

「それと、研究日誌の方だが、鏡像魔神や黒魔犬、
 魔界獣の召還に関する記録が残っていた...
 護符は術式を調査した後、焼却処分にさせて貰った。
 あれも禁術の領域だからな」

イライジャはぶっきらぼうに続ける。

「彼のエルフの魔術師は遺失の《骨従者》も使えた、と言ったね?
 私の知り得る限り、これだけ道を外れる研究が公に認められた学院は無い...
 可能性があるとすれば、在野の導師に弟子入りした者か、若しくは」

水面下で活動する秘密結社の者か。
ヴィステリアはこう付け加えた。

「噂は色々とある。現時点ではどれも根拠薄弱だがな」

イライジャは言う。

「残念ながら、具体的な個人を特定出来るような情報は無かったねえ」

申し訳無さそうにヴィステリアは頭を下げ、研究日誌を差し出した。
だが、『地下の遺跡の操作盤を復旧した』事や、
『本部の老人共は五月蠅い』、『私は契約上、この仕事をしているだけ』、
『組織の運営には興味が無い』、『もうすぐ手を切ってやる』、
等、今まで入手した情報を裏付けるような記述は散見された。

ヴィステリアもイライジャも一言も触れていないが、
人体実験に関する一切の描写については凄惨を極めている。
アシュレイとアイザックに対する狂的な感情についても綴られていたようだ。

「...と、此処までが、我々の解析結果だ。役に立てるかは知らんがな」

イライジャが説明の終了を宣言した。

「いやいや、調査へのご協力、深く感謝致します」

ロバートは謝意を述べ、頭を深く下げる。

「またお願いする事があるやも知れません。その時はどうぞよしなに」

そう言うと、ヴィステリアとイライジャに握手を求めた。

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「...そうだ、パック君」

ひと通りのやり取りを終えた後、ヴィステリアが声を掛ける。

「先日預かっていた剣を返そう」

傍らから、パックの蛮剣を引っ張り出す。

「《発動体作成》の呪文を掛けておいたよ。
 今後は杖が無くても呪文を詠唱出来るだろう。
 正魔術師になったお祝いと思って受け取ってくれ給え」

ヴィステリアは、語る。

「君は私と真逆の道を辿ろうとしている。
 それは茨の道だ。危険も多く付き纏う...
 君が今回相対した敵は、強大な力を持っている。
 智恵を巡らし、諦めず、無理をしない。時には逃げなさい。
 最後に生きて立っている者こそが勝者なのだからね」

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【GMより】

エンディング第8弾!賢者の学院編です。

パックのバスタード・ソードに《クリエイト・デバイス》が掛かりました。
今後は魔法の発動体として使用出来ます。追加報酬です!

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