【進行D16】経過報告。
【夜光蝶】に関する事後処理がひと段落した或る日。
衛視長アイザックが、ジョージの店を訪れた。
「関わってくれた皆さんに、経過だけはお伝えしたいと思ってな...」
そう言うアイザックの目線は、ちらちらとアイナティートの方へと向かう。
気づかれたくないのか、慌てて戻す。
「最初に。衛視隊から今回の事件は政府に報告をさせて貰った。
現時点では衛視隊としては巡回強化しか具体的対応策は取れないが、
許して欲しい」
ミルとブランは、盗賊ギルド内で【夜光蝶】の残党狩りが進んでいる事、
アイナティートとパック、アシュレイは賢者の学院内で、
不審者の洗い出しが進行している事を知っている。
「それと、女の衣類についてだが」
こほん、と咳払いをする。言い辛いのか。
「材質や販売ルートなどを洗ってみた結果、
ファンドリア製である事が分かった。
ロマールを経由して自由人の街道を運ばれて来たのだと思う」
アイザックは一般論を述べた。
だが、当のアイザックも含め、全員、真相はどうだか、と思った事だろう。
何しろ相手は《瞬間移動》を使えるのだから...
「それと、各国の有力な地位についている人物の内、
森妖精の女性、且つ古代語魔術師の中で該当しそうな人物は居なかった」
これも推測が十分に出来た事だ。
森妖精の女性で古代語魔術師など、目立つにも程がある。
公的な機関に属していたら、簡単に足がついてしまうだろう。
「...ただ、情報を公開していない国についてはその限りでは無いし、
森妖精の文化圏については我々の手の及ぶ所では無い。
この世界で人間の領域はそんなに大きくは無い事は承知しているつもりだ」
アイザックは、言葉に力を込める。
「私は、これからも自分に出来る事をやっていくよ。
オランの平和を守る。その為には、今まで以上に武術も磨かねばな...
貴方方には、また協力を仰ぐ事があるかも知れない。
その時には、宜しくお願いしたい」
そう言い残して、アイザックはオランの街へと戻っていった。
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【GMより】
エンディング第10弾!追跡調査編です。これでひと段落。
女魔術師の衣類はファンドリア製だそうです。
詳しい素性は判明出来ませんでした。
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